抗がん剤の副作用「伝え方のコツ」 part①

診察室で、抗がん剤の副作用のことを医師にうまく伝えられず、困った経験はないですか?

例えば、困っている症状のことをうまく伝えられない。

例えば、一生懸命に伝えているのに何もしてくれない。

そのようなことが続くと、

「自分さえ我慢すれば・・・」

と、気分が塞ぎ込んでしまいますよね。

また副作用の対策が遅れてしまうことで、がん治療の中止に繋がってしまうこともあります。

その原因はもちろん、患者さんの問題だけではありません。

医療者側の問題、病院経営、日本の医療制度の問題など、原因は様々です。

でも、忘れてはいけないのが、その影響を受けるのは患者さん自身であるということ。

そこで、しっかり副作用対策を講じてもらうための「伝え方の工夫」を紹介します。

今困っている方、困っている人を支えたい方、きっと力になれるので最後まで読んでみてください。

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目次

はじめに

まず、この記事を書こうと思った理由として、

「副作用で困っているのに、十分に対策されていない」という方が、とても多いと感じたからです。

その背景には、「うまく言葉にして伝えられない」といった悩みや、

「伝えても流されてしまう」といった悩みがあると思います。

病院でしっかり対策してもらえないと、同じ経験をされた患者さんに相談したくなりますよね。

でも、そこで教えてもらった対策が不適切な方法であったり、病院へ受診する機会を妨げてしまう場合もあります。

もちろん責任も取ってくれません。

では、どうしたら良いのでしょうか?

やはり上手に医療者に頼ることができれば一番良いと思います。

上手に医療者に頼るための、症状をうまく伝えるコツ。

それを知るためには、うまく伝えられない(伝わらない)理由を知ることが重要です。

にしかわ

うまく伝えられない原因は何だと思いますか?

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診察時間が短い

ここから、うまく伝えられない原因について考えていきたいと思います。

まず、診察時間、短すぎると思いませんか?

厚生労働省の調査によると、外来の診察時間は「5分~10分未満」が41.3%と最も多く、次いで「5分未満」が27.5%と多かったという結果が出ています。1)

厚生労働省 令和2(2020)年受療行動調査(確定数)の概況

外来で通院する間隔は2〜4週間ぐらいなので、20,160〜40,320分(2〜4週間)の出来事を5分程度にまとめて伝えなければいけません。

そう考えると、ちょっと無理そうですよね・・・。

このような現状で、どのように伝えたら良いのでしょうか?

まず2〜4週間の全ての出来事を伝えるのではなく、「必要な情報」を伝えることを意識してみてください。

毎日の症状を記録したメモ(治療日記)を渡すことも有効です。

また診察中の医師ではなく、看護師、薬剤師など他の医療職へ伝えるといった方法も良いと思います。

医療者-患者間の言語の違い

「専門用語が多くて、説明が理解できなかった」

そう感じた経験のある方は多いのではないでしょうか?

医療者はあえて難しい言葉を使いたいわけではなく、習慣的にそうなってしまうのだと思います。

専門用語は何を意味しているのか、文脈から予想しつつ、頭の中で翻訳する必要がありますよね。

そしてこれは、逆も同じなのです。

つまり医療者も患者さんから言われたことを一度頭の中で翻訳して理解し、それをカルテに記載したりします。

例えば、「吐き気があって食べられず体重が減った」といった内容は、「悪心 Grade2」といった感じで翻訳されます。

この表現は、CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)という副作用の評価基準に沿ったものです。2)

逆に言えば、翻訳できない表現だと、医療者に伝わりにくいと言えます。

もちろん患者さんは、病気になるのは初めての経験なので「表現の工夫なんてできない」と思うのは当然です。

でも、少しでも医療者が理解しやすい言葉で伝えることができたら、受けられる医療の質はぐっと上がると思います。

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我慢してしまう習慣

個人的な感覚ですが、大半の人がつらい症状を我慢してしまっていると思います。

痛みでつらくても「平気」と言ってしまう、

困っていても「大丈夫」と言ってしまう。

これはおそらく、日常生活で相手に配慮して我慢している習慣があったり、

医療者から嫌われたくない、迷惑な患者だと思われたくない、といった心理が働く結果だと思います。

でも実際には、患者さんから言われないと気づけない副作用はたくさんあります。

「客観的に評価できる症状」は患者-医療者間で大きな差はないものの、「主観的な症状」に関しては患者-医療者間でその評価に大きな差があった、という研究結果もあります。3)

(客観的:嘔吐、便秘など 主観的:食欲不振、倦怠感など)

つまり「言わなくてもわかってくれる」ことはなく、「言わなければ誰もわからない」と思って、遠慮なく伝えることが大切です。

Ethan Basch, M.D. N Engl J Med 2010; 362:865-869より
にしかわ

このグラフは黄線が患者さんの評価、青線が医師の評価、横軸が時間、縦軸が副作用の累積発生率を表しています。

まとめ

ここまで、上手く伝えられない理由と、その対策についてお伝えしてきました。

今回は概要として広い視点でまとめてきましたが、次回はもう少し具体的な伝え方について紹介したいと思います。

副作用で悩んでいる人が、一人でも減ることを願います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

抗がん剤の副作用「伝え方のコツ」 part ①

  • 副作用で困っているときは、医療者に頼るのが一番
  • 診察時は全ての出来事」ではなく、「必要な情報」を伝えることを意識する
  • 毎日の症状を記録したメモを渡す
  • 診察中だけではなく、看護師や薬剤師など他の医療職に伝える
  • 少しでも医療者に伝わりやすい表現で伝える
  • 困っている症状は遠慮しないで必ず伝える

参考文献:
1)厚生労働省 令和2(2020)年受療行動調査(確定数)の概況
 kakutei-kekka-gaiyo.pdf (mhlw.go.jp)
2)JCOG CTCAE v5.0について
 [研究者・医療関係者の皆さん] ガイドライン・各種規準 – Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE):日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG:Japan Clinical Oncology Group)
3)Ethan Basch, M.D. N Engl J Med 2010; 362:865-869
 The Missing Voice of Patients in Drug-Safety Reporting | NEJM

にしかわ

この記事を書いた人

薬剤師として総合病院に10年間勤務し、がん専門薬剤師、緩和薬物療法認定薬剤師、NRサプリメントアドバイザーを取得 / 緩和ケアチーム立ち上げ / 2020年よりがん患者さん向けに情報発信を開始 /現在薬局で勤務しながら(株)Ribbons Baseを運営 / MBA(経営学修士) / 書籍 超リテラシー大全(サンクチュアリ出版)監修協力
にしかわ@がん患者さんのためのパーソナル薬剤師(@Pharma_nishi) / Twitter

にしかわ

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