「医療用ウィッグ」のアンケート結果

2023年1月21~22日、Twitter(@Pharma_nishi)にて「医療用ウィッグ」に関してアンケート調査を行いました。

急な告知にも関わらず、373名ととても多くの方がアンケートに参加してくださり、医療用ウィッグに関して価値のある情報を得ることができました。

そして今回、その価値をしっかり皆さまへ還元したいと考え記事を書かせていただきます。

現在、抗がん剤による脱毛に不安を感じている方、ウィッグ選びで悩まれている方にとって、きっと力になれるはずです。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

はじめに

まず今回のアンケート調査を行うにいたった理由についてお伝えさせていただきます。

その理由は大きく2つ、

  1. 副作用による脱毛の心理的負担を少しでも減らしたい
  2. 医療用ウィッグの知りたい情報にたどり着けない

このように考えたからです。

副作用による脱毛の心理的負担を少しでも減らしたい

まず「脱毛の副作用」と聞くと、あなたはどのように感じますか?

“とても嫌な副作用”、“命に直結しない軽度な副作用”など、様々な意見があると思います。

そして、どれも正解だと思います。

命に直結しない副作用と脱毛を軽視する人は、おそらく髪に「自分らしさ」を抱いていない人でしょう。

でも例えばその人の生きがいが仕事だったとき、「副作用で今後は仕事を続けられない」と告げられたら、がん治療を諦めてしまうかもしれません。

つまりこれは「価値観」の違いで、自分らしさが「髪」にあると考えるのか「仕事」にあると考えるのか、その割合はどの程度なのか、人それぞれが異なること。

それを理解することが大切です。

それでも乳がん治療に伴う苦痛な症状が第1位が「脱毛」だった、という調査結果1)もあります。

私自身も病院で勤務していた時「髪が抜けるなら治療をやめます」と言われた経験が何度もあります。

それだけ多くの人が「脱毛」を苦痛と感じるという事実があるのです。

医療用ウィッグの知りたい情報にたどり着けない

私は定期的にTwitterで情報発信していますが、「医療用ウィッグ情報のまとめ」を作りたいと考えていました。

そこでインターネットで情報収集を開始、検索上位に表示されるページを見ていくと、

この医療用ウィッグが人気ナンバーワン!

価格・品質バランスのいいウィッグはコレ

おすすめウィッグランキングTOP10!

といった情報はたくさんあるものの、閲覧する記事によってまるで違うものがおすすめされていました。

「結局どれがいいのか全然わからない…」というのが、その時の率直な感想です。

そして「実際のもっとリアルな情報が知りたい。当事者の方は自分以上に強く感じているはず」

そう考え、今回のアンケート調査の実施を決意しました。

アンケート結果を見ていただく前に

アンケート結果を見ていただく前に、注意してほしいことをいくつかお話します。

まず今回の調査はTwitter(@Pharma_nishi)が行ったもので、回答者の属性に偏りがあることが予想されます。

例えば、SNSを日常的に利用しているネットリテラシーが高い方、比較的若い方が中心に回答されているかと思います。

また質問内容や回答の選択肢に関しても、使用している抗がん薬や脱毛の程度、ウィッグの範囲や使用期間など、細かくわけて質問しているわけではないため、これらによる偏りが生じていることも予想されます。

これらの注意点を踏まえた上で、これからご紹介するアンケート結果を参考にしていただけると嬉しいです。

にしかわ

それでは結果を見ていきましょう。

結果① ウィッグの調べ方

今回Twitterでアンケートの協力を募り、373名の方から回答をいただくことができました。

最初の質問で、脱毛と医療用ウィッグの使用経験について質問させていただきました。

ここで使用経験がないと回答された方は、以後の質問に回答できなくなっております。

2つ目は、情報収集の方法についての質問です。

上位4つはこちらから提示した項目で、5つ目以降はフリーコメントでいただいたものをまとめました。

この結果からインターネットで検索される方が多いことがわかります。

結果② 購入した数とその種類

続いて、ウィッグを購入した数について。

この質問では、ファッションとして同時にいくつ並行して使用していたのか、脱毛が起こっている期間がどの程度だったのかという情報がわからないため、解釈に注意が必要です。

結果では1~2個の購入が約半数を占めていて、5つ以上購入された方が意外と多い(365名中65名)と個人的に感じました。

医療用ウィッグの毛質には、大きく3つの種類「人工毛・人毛・ミックス」があります。

それぞれ良し悪しがありますが、人毛はより自然な見栄えで値段が張るといった特徴があります。

アンケートの結果では、人工毛とミックスの人気が高いことが予想されました。

医療用ウィッグには、毛質の他に「既製品・オーダーメイド」という選択肢があります。

オーダーメイドでは頭の大きさの測定や髪質などに合わせて特注となるため、既製品と比べて値段は大きく上がります。

しかしより自然に見えたり、アフターフォローがしっかりしているなどメリットも大きいため、値段の感じ方は個人の価値観によって大きく異なるかもしれません。

今回の調査では約15%の方が、オーダーメイドのウィッグを購入していることがわかりました。

結果③ 値段について

きっと多くの方が気になる「みんないくらぐらいのウィッグを使っているの?」という疑問。

今回の調査では1つあたり「1~2万円」のウィッグを購入されている方が最も多い結果となりましたが、広くバラけているようにも見えます。

また値段を抑えたものをたくさん所有している方、高価なものを1つ大切に使用されている方で、その総額は同じかもしれません。

色々なパターンが考えられるので、あくまでひとつの情報として参考にしていただければと思います。

医療用ウィッグの助成金があることを知っていましたか?

これは近年始まったもので、市区町村など自治体によって助成金の有無や内容が異なっています。

例えば、愛知県名古屋市では「こちら」のように記載されています。

今回の調査では、約1/4の方が助成金を利用されたという結果となりましたが、まだまだ少ないと思います。

「ウィッグ 助成金」で検索して、活用できる社会資源はしっかり活用しましょう。

結果④ インターネットか?実店舗か?

医療用ウィッグは、実店舗だけでなくインターネットでも購入が可能です。

ネット販売のものは、比較的値段が抑えられ、ホームページ上でアレンジ方法が掲載されていたり、試着が可能であったり、そのサービスの質は年々向上しています。

それでも実店舗では、ウィッグを試して比べたり、その場で似合うようにカットしてくれたりと、実店舗ならではの魅力があります。

今回の結果では、インターネットの方が若干多くを占めていますが、「その他」にはインターネットと実店舗両方で購入といった意見も多く、おおよそ半々といった認識でよさそうです。

また美容院やメルカリで購入した、といったご意見もありました。

インターネットで購入された方へ

上記2つの質問は、「インターネットで購入」を選択した方のみ行ったものになります。

横棒グラフの色分けは「黄:選択肢で用意したもの」、「緑:フリーコメントでいただいたもの」です。

インターネットで購入された方の多くは、「値段が安い」、「バリエーションが豊富」という点に魅力を感じて購入されたことが予想されます。

また購入者の約90%が「満足」と回答し、その満足度が高いことがわかります。

実店舗で購入された方へ

上記の2つの質問は、「実店舗で購入」を選択した方のみに行ったものになります。

実店舗で購入された方の多くは、「サイズが調整できる」、「試着ができる」、「人に相談できる」という点に魅力を感じて購入されたことが予想されます。

またインターネット購入者と同様に約90%が満足と回答していますが、実店舗では更に「とても満足」の割合が高いことも特徴です。

にしかわ

インターネットと実店舗、それぞれに一長一短がありどちらがよいとは一概に言えませんが、上記の結果を見比べてあなたに合った方を選択してみてはいかがでしょうか。

結果⑤ 人気のウィッグメーカー

最後の質問は、ウィッグのメーカーについてです。

この情報は、購入された方が忖度なく回答していて、他のインターネット上のどの情報よりも「リアル」を表していると思います。

質問では選択肢を50音順に表記してすべて選択してもらい、結果では得票数の多い順に並べ変えたグラフにしました。

注意点としては、複数購入しやすい安価なものは得票数が高くなる傾向があると予想されます。

それでもリネアストリアさんアクアドールさんは多くの方から支持を集めており、ウィッグ選びで悩まれている方は一度試してみてもよいと思います。
(ホームページのリンクを添付しているので、興味のある方は青文字をタップしてみてください)

追記:医療用ウィッグか?ファッションウィッグか?

今回のアンケート調査を実施した際、

「ファションウィッグが対象外なのはなぜですか?」

「私はファッションウィッグしか使いませんでした」

といったご意見をいただきました。

そこで、Twitterでもアンケートを追加で実施。

ちなみに「医療用ウィッグ」と「ファッションウィッグ」は明確な定義があるわけではなく、

医療用:
・治療によって脱毛が起きたときに使用する目的のもの
・毎日使用できるよう軽く通気性がよく品質が良い
・値段が高め
ファッション:
・髪のある状態でもファッションアイテムとして楽しむ目的のもの
・医療用より品質は劣るけれどバリエーションが豊富
・値段が低め

などの特徴があると考えていただければよいかと思います。

アンケート結果は以下のようになりました。

見ていただくとわかるように、医療用のみ・ファッションのみ・両方が、ほとんど同じだけ選ばれています。

医療用だけでなくファッションウィッグも選択肢に入れて選んでいただいても良さそうですね。

ただ最近では医療用ウィッグでも安価なものもあるので、できるだけ情報収集してから購入していただくことをおすすめします。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回の記事は、私自身が知りたいと強く感じていた医療用ウィッグの「リアル」をお伝えできたと考えております。

そして脱毛に対する不安のある方、ウィッグ選びで悩まれている方にとって、大きな力になれると確信しています。

また医療従事者の方も近隣のウィッグ店を紹介するだけでなく「インターネットのウィッグも人気ですよ♪」と紹介したり、

各ウィッグメーカーさんも更なる品質やサービス向上のきっかけにしていただければ嬉しく思います。

最後に改めて、当アンケートにご協力してくださった皆さまに感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

にしかわ

この記事を書いた人

薬剤師として総合病院に10年間勤務し、がん専門薬剤師、緩和薬物療法認定薬剤師、NRサプリメントアドバイザーを取得 / 緩和ケアチーム立ち上げを経験 / 2020年よりがん患者さん向けに情報発信を開始 /現在薬局で勤務しながら(株)Ribbons Baseを運営 / MBA(経営学修士) / 書籍 超リテラシー大全(サンクチュアリ出版)監修協力
にしかわ@がん患者さんのためのパーソナル薬剤師(@Pharma_nishi) / Twitter

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