【意外と知らない?!】点眼薬や眼軟膏の正しい使い方

多くの人が一度は使ったことがある「点眼薬」。

でも正しい点眼方法を知っている人は、実は少ないのではないでしょうか。

点眼薬は内服薬と違って、その使い方によって本来の薬効が十分に発揮されなかったり、副作用が起こってしまったりと、大きな差がでるお薬です。

間違った使い方をすると、眼の感染症を起こすリスクもあります。

そこで今回、点眼薬の正しい使い方について解説しました。

この記事を読み終わる時には、正しい点眼方法を理解できていると思います。

それでは一緒に見ていきましょう。

にしかわ

こちらの関連記事を一緒に読んでいただくと、より理解が深まります。

目次

× 間違った目薬の使い方(抗がん剤 眼の副作用)

前回の記事では、抗がん剤の多くが「眼の副作用」を起こすことをご紹介しました。

そして、その対策として「症状に合った点眼薬を使うこと」が重要だということも知っていただけたかと思います。

でも症状に合った点眼薬でも、正しく使えていなければその価値を十分に発揮することができません。

僕はこれまでに100名以上の方の点眼方法をチェックして使い方を説明してきましたが、

実は間違った使い方をしている方がとても多いです。

おそらく間違った自己流の点眼方法が、習慣になってしまっているのではないでしょうか。

間違った点眼方法で多いのが、以下のようなものになります。

間違った点眼方法

  • 点眼薬の先をまつ毛やまぶた、目に触れさせてから点眼する
    (理由:点眼薬が清潔でなくなってしまいます)
  • 点眼後に目をパチパチする
    (理由:点眼液が涙道へ流れていってしまいます)
  • 目の周りに落ちた点眼液を流し込んでいる
    (理由:清潔ではありません、すぐに拭き取って新しく点眼しましょう)
  • 指示された滴数を超え、何滴も点眼している
    (理由:目から外に流れ出るだけで、効果は変わりません
    ※ただし人工涙液で洗い流す目的の場合は問題ありません
にしかわ

皆さんは、間違った点眼方法をしていませんでしたか?

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〇 正しい目薬・眼軟膏の使い方(抗がん剤 眼の副作用)

それでは次に、正しい点眼方法を一緒にみていきましょう。

正しい点眼方法

  1. 点眼する前に手をせっけんで洗う
  2. 点眼薬のキャップを外し、下まぶたを軽く引いて点眼する
  3. このとき点眼薬の先端がまつ毛やまぶた、目に触れないようにする
  4. 特に指示がない場合は、1回1滴を使用
  5. 点眼後はまばたきをせず、まぶたと閉じて1分ほど待つ
  6. あふれた薬液はティッシュなどで軽くふき取る

先ほどの「間違った点眼方法」を知っていると、正しい理由がわかると思います。

正しい点眼方法のポイントは以下のような点です。

・眼や点眼薬を清潔にする
・しっかり眼に滴下する
・薬液を眼にとどめておく
・薬液によって眼の周りがかぶれないようにする

にしかわ

ちなみに瞳にためられる液量は約0.03mL、点眼薬1滴は約0.05mLと考えられているため、1滴で十分な量になるのです。

しかし、正しい方法を理解していても、

「怖くてうまく目の中に滴下できない」

「抗がん剤の副作用で手がしびれてうまくできない」

という方もいると思います。

そんな方は「げんこつ法という点眼手技を試してみてください。

以下のイラストは、『参天製薬「目薬(点眼液・眼軟膏)の使い方』からの引用になります。

げんこつ法

  1. キャップを外し、点眼容器を持ちます。もう片方の手でげんこつを作ります
  2. げんこつを下まぶたにあて、軽く下にひきます
  3. げんこつに点眼容器を持つ手をのせ、1滴を確実に点眼します
    (医師または薬剤師の指示がある場合はそれに従ってください)
出典:参天製薬「目薬(点眼液・眼軟膏)の使い方」より

気になる方は、リンク先に動画も掲載されているので、ぜひそちらも参考にしてみてください。

さらに「それでもうまくいかない」という方は「補助器具」を使うとよいでしょう。

正しい眼軟膏の使い方

眼軟膏も基本的な考え方は、点眼薬と同様です。

下記の正しい使い方をご参照ください。

  1. 眼軟膏を塗布する前に手をせっけんで洗う
  2. 眼軟膏のキャップを外し、鏡を見ながら下まぶたを軽く下に引く
  3. チューブを少し押して下まぶたの内側に薬を塗布する
  4. このときチューブのの先端がまつ毛やまぶた、目に触れないようにする
  5. 塗布後はまばたきをせず、まぶたと閉じて1分ほど待つ
  6. あふれた薬液はティッシュなどで軽くふき取る

その他の目薬の注意点

正しい点眼方法をご紹介してきましたが、次にこんな声が聞こえてきそうです。

「2種類以上の点眼薬を使うときの注意点は?」

「コンタクトレンズはしたままでいいの?」

「正しい保管方法は?」

これらの疑問に対する回答がこちらになります。

その他の注意点

〇複数の点眼薬を使うとき
・「5分以上」の間隔をあける
・「懸濁性」と書いてあるものは、一般的な点眼薬(水溶性)の後に点眼
 (懸濁性はよく振ってから使用してください)
・ただし全ての点眼薬があてはまるわけではないため、薬をもらう時に薬剤師へ確認
〇コンタクトレンズ
・防腐剤の入っている点眼薬(ほとんどの点眼薬)は、コンタクトレンズをしたままの点眼はNG
・その場合、点眼後5分以上あけてからコンタクトレンズを装着
〇保管方法
・冷所保存などの指定がないときは、日差しのあたらない涼しい場所で保管
・開封後1ヶ月程度が使用期限

まとめ

いかがだったでしょうか?

お薬全般に言えることですが、ご自身の使っているお薬を理解することは、その治療の質を上げることにつながります。

特に点眼薬のような外用薬は、正しい使い方を知っていないと眼の感染症などのリスクが伴います。

ぜひ正しい点眼方法を理解して、それを習慣化してくださいね。

にしかわ

この記事を書いた人

薬剤師として総合病院に10年間勤務し、がん専門薬剤師、緩和薬物療法認定薬剤師、NRサプリメントアドバイザーを取得 / 緩和ケアチーム立ち上げ / 2020年よりがん患者さん向けに情報発信を開始 /現在薬局で勤務しながら(株)Ribbons Baseを運営 / MBA(経営学修士) / 書籍 超リテラシー大全(サンクチュアリ出版)監修協力
にしかわ@がん患者さんのためのパーソナル薬剤師(@Pharma_nishi) / Twitter

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